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みんなの人生ピカっとのぞき見! Vol. 44

命と向き合う×介護現場のモヤモヤ! お年寄りの“かわいらしさ”に触れ、介護士として生きる喜び

“おじいちゃん、おばあちゃんたちの役に立ちたい”、そんな思いを胸に、子どもの頃から介護職を志していたOさん。介護士歴17年目の今、デイサービス施設に通うお年寄りの方々はもちろん、その家族にも寄り添い続けています。介護を必要とする方それぞれの人生に向き合い、時に厳しい現実にも直面しながらも、いきいきと働く彼女のモチベーションの源とは?

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PROFILE

O.Hさん

35歳

東京都出身。幼少期から介護職を目指し、介護の学科がある高校に進学する。卒業後は介護士として有料老人ホームに就職したものの、2年間勤務した後に退社。一度介護職を離れ、2、3ヵ月ほどアパレルのアルバイトを経験したことで、介護の仕事に対する思いが再燃。デイサービス(通所介護)施設に就職する。現在は施設管理者として、スタッフのマネジメントや後進の指導にあたる。同じく介護業界に勤めるパートナーと、11歳の長女、6歳の次女の家族4人暮らし。

お年寄りからの感謝の言葉が原点に 
小学生で芽生えた介護への思い

小学生の頃から介護職を志していたそうですね。何かきっかけがあったのでしょうか。

小学3、4年生の頃、バス停でお年寄りに席を譲ったときに、すごく感謝されたんです。それがうれしくて、“おじいちゃん、おばあちゃんを助ける仕事がしたい”と思い、自分で調べて、介護の仕事を知りました。当時から作文には「将来の夢は介護職」と書いていましたし、職業体験の授業でもデイサービス(通所介護)施設※を選んでいましたね。※デイサービス(通所介護)施設:高齢者が日帰りで通い、食事や入浴、機能訓練などの介護サービスを受けられる施設

高校卒業後、進学せず介護の仕事に就くと決めていたのはなぜですか?

すぐに介護のスキルを身に付けたかったんですよね。でも、いざ就職先の有料老人ホームで働き始めてみると、立ちすくむような出来事にもたくさん直面したんです……。学校では教わらない、介護の現場のリアルを肌で感じました。例えば、前日に介助していた方が、朝お部屋に行ったら亡くなっていたことも。トイレで排せつができない、お風呂に入れない、食事を摂ることを忘れてしまう、世の中にはそういう方たちが想像以上に多くいる。私たち介護職は、そんな“明日には会えないかもしれない方たち”をケアして、時に見送りながら日々の仕事を続けていく。子どもの頃に想像していたように、“大好きなお年寄りと触れ合って、感謝されるだけの仕事じゃないんだ”と、実感させられる日々でした。

そんなつらい経験の中でも、職場結婚を機に離職されるまでの2年間、介助する方々の命と向き合い、頑張り続けられたのはどうしてですか?

1つは、一緒に働く職員がやりがいを持って、入居者さんのために一生懸命に仕事を続ける姿があったからです。もう1つは、入居者さんからもらえる“小さな喜び”を糧にしていました。亡くなっていく方やできないことが増えていく方に対して「何もできなかった」と感じることも多い中、少しずつ身体状況が回復する人がいたり、絶対に覚えていないだろうと思っていた私の名前を覚えていたり。そういう小さな喜びがあると、“もう辞めたいかも”という気持ちがゼロになって、“この人たちのために何か1つでもできればいい”って気持ちになれたんです。それが毎日コツコツ積み重なって、2年間続けられたと思います。

退職された後、アパレル店でアルバイトを経験されたそうですね。まったく異なる業界を経て、再び介護の世界に戻ってきた経緯を教えてください。

19、20歳くらいの頃でした。同世代の友人たちがおしゃれをして輝いているように見えて、“1回しかない人生だから、お洋服の仕事をやってみたい”と飛び込んでみたんです。当時働いていたお店はショッピングモールの中にあったのですが、仕事中、介護サービスの人と一緒に来店されたおばあちゃんを見かけると、“介護職に戻りたいな……”とばかり思っていました。そんな気持ちのまま働き続けるのはお店にも申し訳ないので、結局2、3ヵ月くらいで辞めましたね。ほかの仕事をやってみて、改めて“私は介護職をやりたいんだ”とわかったんです。

デイサービス利用者とその家族のために 
できる限りのことをして寄り添いたい

現在の職場であるデイサービスは、有料老人ホームとは仕事内容がまた違うと思います。

まったく違ったので、最初は慣れなかったですね。有料老人ホームでは、毎日同じ入居者さんと過ごしていましたが、デイサービスでは、月曜日から土曜日まで毎日利用者さんが違うんです。利用者さんは合計50人ほどいますが、1週間の中で利用する回数や曜日はバラバラ。お名前や年齢、利用する曜日はもちろん、1人ずつの疾患やお薬のこと、何が好きで何が嫌いか、言ってはいけないことなど、全部の情報を頭に入れるのが大変でした。

また、数年前からは、施設管理者として、「楽しく働ける環境づくり」にも取り組んでいます。デイサービスは、利用者さんに楽しんで過ごしていただく場所。働いている私たちが楽しくなければ利用者さんたちにも伝わらないので、みんなが笑顔で働ける環境を整えていきたいですね。

Oさんにとって、デイサービスでの仕事のやりがいや好きなところを教えてください。

有料老人ホームでは家族の方と接することがほぼなかったんですが、デイサービスでは送迎も行うので、利用者さんだけでなくご家族との交流も生まれます。それぞれのご家族と接することで、利用者さんだけでなく、そのご家族の力になれる、という実感がありますね。

また、利用者さんの“生きる希望”が育っていくのを見られるのも、デイサービスで働く喜びです。以前、ある利用者さんが、「まだ生きたい」と私に伝えてくれたことがあるんです。この仕事をしていると、「老い」について考えることがたくさんあるけれど、できないことが増えていく中でも、日々の生きる喜びや希望を感じてもらうことができる。そんなやりがいが心から湧いてきた一言でした。

2人のお子さんを育てながら、介護のお仕事も続けてこられたとのこと。お仕事に取り組むOさんを見て、家族や周囲の人の反応はどうでしたか?

命に向き合う仕事をしていることは、子どもたちも理解してくれています。「ママがいないと、デイサービスに来るおじいちゃんとおばあちゃんが大変なんだよ」って、子どもたちに我慢させることがありますけど、“ちょっと協力をお願いします”って感じですね。会社の代表が女性なのも心強いです。同僚にも子育てが終わっている人がいるので、子どもが熱を出したときなどは、「いいから休んで」「お迎えに行ってあげて」と送り出してくれる。周囲の人に恵まれているからこそ、続けてこられたんですよね。

お互いの状況を思いやる環境があってこその両立ですね。

すごくありがたいです。それに、自分が子育てをしながら働いてきたからこそ、介護をする人の気持ちに寄り添えると思うんです。保育園の先生が、「私たちはプロですから、任せてください。完璧な状態で連れてこなくても大丈夫です。」と言ってくれて。働く私に寄り添ってくれたから、子育てと家庭を両立してこられた。介護もきっと一緒だと思うんです。介護が必要な家族がデイサービスに行っている時間は、自分の時間が持てる。帰ってきたらまた大変かもしれないけど、明日まで頑張れば、朝にまた介護職員が迎えにきてくれる。そういう“距離を取る時間”ってすごく必要だなって思います。

だからご家族には「頑張らなくていいんだよ」と伝えたいですね。なかなか起きられなかった日はパジャマのまま来てくれたらこちらで着替えてもらうようにするし、朝ご飯を食べて来ることができなかったのなら、こちらで昼ご飯を食べてもらえばいい。私たちはプロですから任せてください!って。私が保育園の先生にしてもらったように、利用者さんの家族にも“1人じゃない”ということを感じてほしいなと思います。

お年寄りを介護する仕事は楽しくて幸せ 
世の中にもっと伝わってほしい

今後、介護業界はどのようになっていってほしいですか。

ネガティブな情報の発信が多いので、もっとポジティブな情報が世の中にたくさん広がればいいなと思っています。介護職は、世の中が思っているよりずっと光のある仕事。関わる方たちの生きる喜びを引き出せる、楽しく幸せな瞬間がたくさんあります。それに、資格がなくてもいいし、性別も国籍も問いません。優しい気持ちと、“人のために”という思いがあれば、誰でも活躍できると思うんですよ。多様化した社会の中で、介護職に対する認知や理解がもうちょっと進めばいいですよね。

Oさんがとても熱意を持って働いていることが、伝わってきます。

はい、大好きなおじいちゃんおばあちゃんのお手伝いができることに、すごくやりがいを感じているので。常にキュンキュンしていますよ。例えば、恥ずかしそうに入れ歯を外している姿がめっちゃかわいいし、入れ歯がないクシャクシャした顔もかわいい。あと、誰かが何か落としたときに、「私はかがめるから取ってあげるよ」と、お年寄り同士で助け合っているのを見ると、“素晴らしいな”と思います。そういう“キュンポイント”は毎日何かしら見つけていますね。おじいちゃんとおばあちゃんたちが私の推し活なんです(笑)。お年寄りを手助けしたいと思う気持ちが、きっと世の中をもっとあったかくする。そう信じています。

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