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みんなの人生ピカっとのぞき見! Vol. 11

好きなこと×稼ぐことのモヤモヤ! “好き”を仕事にするために、20代はどんな仕事もやる覚悟

大好きな家族を思って、いつの間にか自分で自分を縛っていたKさん。大学生の頃に病気と手術を経験したことで“本当にやりたいことを選んでいこう”と心を解き放ちました。フリーランスのマルチクリエイターとして、一つひとつの出会いや縁を大切にしながら、まさに“マルチタスク”な活動を続けるKさんは、自らを「止まらない回遊魚」と称します。

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PROFILE

K.Mさん

29歳

高校生の頃から独学でWeb制作をスタート。地元・宮城県石巻市の高校を卒業後、岩手県の大学に進学したが、3年生のときに中退。上京し、デザインの専門学校に3年間通ったあと、フリーランスのマルチクリエイターに。現在、石巻の実家で父、母、妹、祖母とともに暮らしながら、月の約半分を東京で活動。DJとしての顔も持つ。趣味は、タフティング(布地に毛糸を打ち込んでラグやカーペットなどを作る手芸技法)、編み物、植物を育てること。

20歳で経験した病気をきっかけに 
“家を守らなきゃ”という責任感から解放

KさんがデザインやWeb制作のお仕事を志すようになったきっかけを教えてください。

中学生の頃からフィルムカメラで写真を撮るのが趣味だったんです。一方で、高校生のときからコーディング(Webサイトやアプリを動かすために、プログラミング言語を使ってコンピューターに指示を出す作業)も好きになって、結局大学は国公立大学のソフトウェア情報学部に進学しました。本当はそのまま芸術系の活動に進んでみたかったけど、 “やっぱりそれだけでは食べていけないから大学に行かなきゃ”という思い込みがあって。当時の私にとっては国公立大学の方が堅実なイメージだったし、進学先の学部であれば、表現的な知識も得ながら、卒業後は堅い仕事に就けるかもしれないと思ったんですね。そんなわけで大学では、パソコンを解体して一から組み立てたり、Webサーバーを構築したりしていたんですけど、“やっぱりもうちょっと直接的な表現をしたいな”と思っていました。

10代の頃から、「自分の趣味を仕事にしていく」ことに対して割とシビアな考え方をしていたんですね。

そうですね。私、家族が大好きなんですよ。うちは父が長男で、男兄弟がいなくて私が長女なので、“自分が継がないと、この家がなくなっちゃう!”という危機感を抱えながら過ごしていたんです。その1つのきっかけとして、中学3年生のときに経験した東日本大震災は大きな出来事でした。人と人の結びつきを意識するようになったし、“この場所(実家)がなくなったら、家族はどこに集まるんだろう?” という思いが肩にのしかかっている感じでしたね。

“家を守るために自分が!”という責任感から、堅実で安定感がある選択肢の方に引っ張られていたのでしょうか。

“好きなことだけじゃ食べていけないから”とずっと思っていたのですが、今思えば、そうですね。家族から特に何か言われていたわけではないけど、当時は無意識のうちに自分で自分にプレッシャーをかけていたのかもしれません。そんな中、大学2年生あたりから吐いちゃうことが続いて、手術することになりました。お腹の病気だったみたいです。手術のあと、麻酔から目が覚めたときに、“自分の人生にちゃんと責任を持ちたい。もう家のために自分の人生を選ぶことはやめよう!”と思ったんです。大学に戻るまでに8か月間あって、その間に東京の映像制作会社でお仕事をさせてもらいました。そこから一旦は大学に戻ったんですけど、退学して、再び上京して、デザインの専門学校に行くことにしたんです。それからは人生が楽しくなりました!意識していないつもりだったけど、自分の中で心残りがあったんだと気付かされた感じです。もしかしたら、あえて意識しないようにしていたのかも。

就職以外の選択肢を知り、フリーランスに 
マルチタスクへの葛藤も……

24歳のときに3年制の専門学校を卒業して、フリーランスになった経緯を教えてください。企業に就職する選択肢もあったと思います。

私も、専門学校に入学した当初、卒業後は制作会社に就職するんだろうなと思っていました。でも、3年生の後半からコロナ禍になって、卒業を前に“これからの生き方をどうしよう”と考えていたら、アルバイトやインターンでお世話になった会社の方々が「先行きが不透明で、ある意味みんながフラットな状態になっている時期だから、フリーランスでやりたいことをやればいいじゃん」と就職以外の選択肢があることを教えてくださったんです。生活していけるのかどうか迷いがなかったわけではないし、正社員の安定感も魅力でした。でも、それだって自分にとって永続的なものなのかわからない。“だったら、まずはフリーランスをやってみよう”と決めました。

そこからは、「マルチクリエイター」を名乗って、デザインとか、映像とか、たまに写真撮影とか、Web制作とか……、自分ができる技術的なことを何かに還元するお仕事を始めました。そのまま、なんだかんだ続いている感じですね。私は、“できることがあったらやりますよ”という性分で、頼まれたら何でも引き受けてしまうんです(笑)。一つひとつのご縁を大切にして、依頼があったお仕事に対して「やらない」と言わないことをモットーに、止まらずにずっと活動しているからこそ、今があるのかなと思います。

現在は、地方創生プロジェクトやギャラリーカフェの企画運営、キュレーションなども手掛けていますよね。マルチタスクだからこその葛藤はありませんか?

めちゃめちゃあります!自分でも“器用貧乏だな”と思いますよ(笑)。できることをできる範囲でやっているし、マルチタスクでいいこともあるからいいんですけど、専門性がないと言われれば、そうですよね。“でも器用貧乏って悪いことじゃないからな~”と自分で自分に言い聞かせながら、ある種、割り切って、いただいた仕事は全部さばいています。

ここ(作業場)にいると、仕事もあるし、自分のやりたいこともあるし、全部が途中なんです(笑)。例えば、趣味のタフティングをやりながら、仕事のメールをチェックして、作業して、頭では次の仕事のことを考える、という感じですね。1個のことに集中するのも大切だと分かっているので、あまり分散的にならないように、ちゃんと終わらせるところは終わらせようと気を付けています。

20代のうちは“回遊魚”のままでいい 
失敗はないと信じて、動き続ける

マルチタスクをこなせているKさんは素晴らしいですが、いつも複数の案件を抱えながら走り続けていると、疲れてしまわないですか?

私、自分のことをマグロみたいな回遊魚(季節や成長に応じて、暮らす場所を移動し続ける魚)だと思っているんですよ。止まれない、みたいな(笑)。20代のうちはとにかくマグロでい続けようと思っています。

動き続けることが次につながるし、動き続ける中で自分の気持ちや、やりたいことが見えてくると思うから。頭の片隅にいろんな案件の納期を置きながら、がむしゃらに進んでいるような感じですね。無駄なことはなくて、全部が経験になるから、何でもやっています。私、基本的に失敗はないと思っていて、“成功するまで続けたら、それは糧になる”という言葉がベースにあるんですよ。

それから、いろいろな案件を経験したことで、「やったことないよね、どうかな?」というお仕事を振られたときに、自分ができることと、これまでやってきたこととを混ぜて、「ここまではできないけど、これだったらできます。どうですか?」と折衷案を提案する交渉術を培うことができました。

Kさんなりの気持ちの向け方や対処法があるんですね。今、自分の好きなことと生活のためにする仕事、その2つをどのように両立させているのでしょうか。

DJだったり、自分の作品の企画展だったり、私が表に立って活動する表現的なこと。それから、自分以外の誰かや、自分自身の心の栄養につながるような活動を「ライフワーク」としています。“今の世の中、自分がやりたいことがきっと誰かに刺さるだろう”という思いで、自由に、自分の心に従いながらやっています。一方で、クライアントさんがいて、私が何かの形で他者をサポート・応援をする活動が「ライスワーク」ですね。ライフワークよりは自由度が下がりますが、収入の支えになるのはこちらですし、自分の仕事が誰かのためになることにやりがいを感じています。

私にとっては、2つの経験がお互いに生きていると思うし、どちらの活動も無駄にしたくない。そして将来的には融合させて、「ライフワーク×ライスワーク」としたくて、今はその過渡期です。もう1つ、何かを始めたい人の後押しもしたいですね。自分もものづくりが好きで、行き詰まる部分が分かるので、ものづくりをしている作家さんのブランディングやWeb制作などで手助けができたらと思っています。

10代から20代で積み上げてきた経験や知識を、30代になるこれから、どう展開していきますか?何かビジョンがあったら聞かせてください。

ずっとマグロスタイルは体力的に難しそうだし(笑)、石巻と東京を行ったり来たりする2拠点生活がいつまでできるのかなぁ……というところはありますね。いつかは区切りを付けるタイミングがくるだろうなと思いながら過ごしています。そのときに、“ああ、あれをやっておけばよかった”と後悔したくないですね。

これからやりたいことは、いろいろあるんですけど、母屋を改装してギャラリーカフェをやりたいねって家族で話しているんですよ。そこで母をはじめハンドメイド作家さんの作品を展示販売したりして。それが「ライフワーク×ライスワーク」の終着点の1つになるのかなと、今はそう思っています。

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