就職活動×コロナ禍のモヤモヤ! コロナ禍が直撃!“採用ゼロ”を乗り越えて、憧れのCAになるまで
幼い頃から颯爽(さっそう)と働くCA(客室乗務員)の姿に憧れ、航空系を目掛けて一直線に進路を定めてきたというMさん。しかし、短大入学とほぼ同時にコロナ禍が直撃……。航空各社が新卒採用を見送り、“求人数ゼロ”という事態に。同期が次々と進路変更する中、諦めずに挑戦を続けたそうです。晴れて今、CAとなったMさんに、当時の不安と葛藤を乗り越えた経緯を伺いました。
PROFILE
M.Mさん
24歳
鹿児島出身、現在は都内で夫と2人暮らし。CAとして、国内を飛び回る充実した日々を送る。パイロットである夫とのデートも、もっぱら航空関係という大の飛行機好き。趣味のドライブを兼ねて、飛行機が見える絶好のスポットに行って撮影したり、パイロットと管制官とのやりとりを無線機で聞いたりするのが楽しみ。

将来の夢は幼い頃からずっとCA
順調だと思われた進路も、コロナ禍で採用ストップに!
いつからCAになりたいと思っていたのですか?
幼稚園の頃からです。航空会社では、子どもだけの搭乗をサポートしてくれるサービスがあるんですが、夏休みや冬休みになると1人で飛行機に乗って祖父母の家へ行っていました。1時間ちょっとの飛行時間ですが、毎回本当に楽しみにしていたんです。最初はやっぱり不安な気持ちもあるんですが、離陸の瞬間の浮遊感やエンジン音にすごくワクワクして。とにかく飛行機が大好きな子どもで、“ずっと飛行機に乗っていられたらいいのに”と思っていました。だから、航空業界で働きたいと思うようになったのは、自然な流れだったと思います。パイロットもかっこいいなと思っていましたが、当時の私からするとCAさんは、“非日常の空間で、なんでもできちゃうすてきなお姉さん”という存在。直接お客さまと接して、優しく声をかけてくれるCAさんに憧れて、自分もお客さまを喜ばせる人になりたいと思うようになりました。
幼稚園からCAを目指していたとは驚きです。学生時代は、どのように進路を決めていったのですか?
中学生、高校生になってもCAになりたい気持ちが変わることはありませんでした。CAの働き方をYouTubeで調べたり、業界誌を読んだりして、モチベーションを上げていましたね。高校は県内の進学校に通っていたので、周りはほとんど4年制大学を目指すような環境でした。でも私は、“早くCAになりたい。4年も待てない”という気持ちが強くて。そんなときに、CAの合格実績が高い県内の短大を知ったんです。“2年で卒業できて、実績もある。ここなら最短でCAとして働ける!”と思って、迷わず進学を決めました。
明るい未来を思い描いて入学したものの、ほぼ同時にコロナ禍に見舞われ、2021年の航空業界は厳しい採用状況でした。どのようなお気持ちでしたか?
そうなんです。入学してすぐにコロナ禍になって、航空業界全体が採用をストップしました。例年なら、大手航空会社だと200人ほどCAを採用するのですが、その年はほとんどの航空会社がCAの採用は見送る方針に。グランドスタッフの採用が少しあった程度で、実際に1学年上の先輩の代でCAに採用されたのは、たった3人でした。CAになるために学校を選んだので、正直かなりのショックを受けましたね。でも、“絶対にCAになりたい”という気持ちだけは揺らぎませんでした。“2年生になる頃には、状況が変わるかもしれない”、“コロナが落ち着いたら、きっと採用があるはず”と、自分に言い聞かせていました。不安な気持ちはあったものの、CAの採用が再開されたときに少しでも有利になるように、とにかく資格は取りましたね。資格はCAになっても役立つものだし、面接時にもアピールできると思ったんです。また、語学ができた方が強みになると思って、英語の他に韓国語も学びました。今できることを全部やろうという気持ちで、ずっと準備を続けていました。
そんな思いとは裏腹に、2年生になっても採用が再開されなかったそうですね。
はい。状況は変わらず、CAの採用は引き続きゼロ。先生たちも「大丈夫だよ」なんて無責任な言葉はかけられない状態でした。先行きの見えない将来に、同級生と集まっては、「そのうち採用されるよね」「来年は戻ってほしいね」と励まし合っていました。ただ、私自身はもともと楽観主義なので、“まあ、どうにかなるだろう"と思っていた部分もあったんです。でも、現実は厳しくて。60人くらいいた同期も、入学時はほとんど全員がCAやグランドスタッフを目指していたのに、だんだん夢を諦め始めて……。結局みんな一般企業に就職していきました。そんな環境にいると、“私もそろそろ現実を見た方がいいのかな……?”と何度も悩みました。このまま採用が再開されるかどうかも分からない状況で、CAになれる保証はありません。でも、最終的に“やっぱりCAを諦めたくない!”という気持ちが勝ち、短大卒業後は、県外の航空専門学校へ進学することを決めました。あともう1年だけ頑張ろうと覚悟を決めた瞬間でした。
同期が次々に進路変更をする中
ただ1人、諦めない道を選び専門学校へ
就職ではなく専門学校へ進むことについて、ご家族の反応はいかがでしたか?
最初はけっこう反対されました。「専門学校の学費も高いし、周りのみんなは一般企業に就職しているんでしょ?だったら一度働いて、お金をためてからでも遅くないんじゃない?」と、現実的なことを言われてしまいました。でも私は、昔から好きなことしか続かないタイプだし、幼い頃からCA以外の道を考えたことがなかったので、他の進路は想像できなくて……。CAの採用が若干名だったとしても、その数名に入るための努力をしたいと思ったんです。
だから、専門学校について徹底的に調べて、「こういう授業があって、こんな実績がある学校だから、内定を取れる確率が高い。絶対CAになりたいの!」と両親を説得しました。親もその熱意に動かされたのか、1年間だけ猶予をもらいました。
強い意志をお持ちだったことが伝わります。専門学校ではどんなことを学びましたか?
CAとグランドスタッフを目指す人だけが集まる学校だったので、他の企業に就職する人がそこそこいた短大の頃よりも就活対策に特化したカリキュラムでしたね。エントリーシートの書き方、面接の練習、ロールプレイングなど、実践的な授業が中心でした。
採用がいつ再開されるか分からなくても、とにかく準備だけはしておきたくて、特別面接レッスンは全部参加。エントリーシートも先生に何度も添削してもらって、模擬面接では誰よりも早く手を挙げていました。その姿を見てくれていた先生から、「採用が再開されたら、あなたは絶対受かるよ」と言われたときは、本当に励みになりました。あの一言は何度も心の支えになりましたね。
積極的に取り組んでいたんですね。まだCAの採用は止まっていたんですか?
私が専門学校に入学した年に、いくつかの航空会社で採用が再開されたんです。でも、私が第1志望にしていた会社はまだCAの募集がなくて、すごく落ち込みました。“このまま採用がなかったらどうしようかな”と悩んでいたときに、その系列会社がCA採用を再開したという情報が出て、即応募しました。まずはそこで経験を積んで、ゆくゆくは第1志望の経験者採用を受けるのもいいかなと思ったんです。
選考はどのような流れでしたか?
まずエントリーシート、そのあと一般教養のSPI。そこを突破すると、面接が3回、そのあとに身体検査があります。身体検査は貧血の有無、側弯症、鼻の曲がり具合など、気圧の影響が出そうなところは細かくチェックされるんです。SPIの勉強や面接練習はもちろん、整体に通ったり体調管理に気を付けたりと、できることはすべてやったので、“もうあとは自分の力を出し切るだけだ”という強い気持ちで挑みました。
そして専門学校に入学して半年後、無事に内定を頂くことができました。 “諦めなくてよかった”と、心の底から思った瞬間でした。
やっと念願のCAに採用されたんですね!ここまで不安な日々も多かったと思いますが、何が支えになっていたんでしょうか。
一番の支えは、やっぱり周りの人たちでした。最初は反対していた両親も、「あんたが決めたことなら応援するよ。頑張りなさい」と応援してくれましたし、友達や専門学校の先生の言葉にも何度も助けられましたね。それから、採用が止まっている間も自分で積み重ねてきた努力があったことで、“ちゃんと準備してきたから大丈夫”という自信になりました。
目指すは生涯現役!
60歳になっても空を飛んでいたい
念願のCAになって3年目。そろそろ、当初の第1志望だった会社への転職も考えているのでしょうか?
実は、このまま今の会社で働こうと決めたんです。社内の雰囲気が本当によくて、働きやすさは抜群。仕事のペースや制度も自分に合っていて、この先の人生を考えると、今の環境でキャリアを重ねていくのが一番いいと思えるようになりました。
結果的に、今の環境が理想に近かったんですね。
ただ、正直にお話しすると、休日は、“1日中布団にくるまって過ごす”ことが多いのが現実です。この仕事はシフトが日によってバラバラですし、1日に多くて3回も離着陸するので気圧の変動も激しいんです。それで、気付かないうちに疲労がたまってしまって……。その上で前向きでいられるのは、人一倍楽観的な持ち前の性格と、CAの仕事が楽しいからに尽きますね。
将来のキャリアはどのように考えていますか?
将来的には、客室全体の責任者であるチーフを目指しています。あと数年で試験を受けられるので、挑戦するつもりです。CAとしてのキャリアを積むと、地上勤務や人材育成に進むという選択肢もありますが、私の目標はただ1つ。60歳になっても現役でフライトを楽しんでいる先輩方のように、生涯、空を飛び続けることです。
あの不安と葛藤を乗り越えて掴んだ空だからこそ、これからも飛び続けたい。お客様の笑顔を一番近くで見ながら、ずっと現役で、この仕事を続けていきたいと思っています。