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みんなの人生ピカっとのぞき見! Vol. 41

結婚×姓の選択のモヤモヤ! 夫の姓を選ぶのが当たり前?パートナーに希望を伝えたら予想外のリアクションが。

初めて参加した街コンでパートナーに出会ったSさん。代々続く農家の1人娘として生まれたSさんは、父親の希望もあり結婚後も自分の姓を選びたいと思っていました。しかし、世の大多数のカップルが、婚姻の際に男性側の姓を選択しているという現状を前に、“相手やその両親にどう切り出すべきか”と葛藤を抱くように。意を決して打ち明けると、パートナーからは思いもよらない返答が。そのとき、Sさんが気付いた大切なこととは……?

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PROFILE

S.Aさん

31歳

埼玉県出身。都内の美大でグラフィックデザインを学び、卒業後、パッケージのデザイナーに。2024年に、千葉県出身で2人兄弟の長男である4歳年上のパートナーと出会う。彼のマンションでの同居を経て、2025年に入籍。休日は、彼の趣味である釣りや買い物に出かける。家事は料理を担当。苦手な洗い物とゴミ捨てはパートナーが担当。趣味は写真を撮ること。

街コンで出会った運命のパートナー 
結婚前に気になったのは、“姓”のこと

出会いは、初めて参加した街コン※だったとか?参加したきっかけを教えてください。

ちょうど私が30歳になるタイミングで、周りの友人も結婚しはじめ、出会いを探していたんです。それまでマッチングアプリは利用したことがあるんですが、実際に会うまでテキストでやり取りをするのが、なんだかまどろっこしくて。私の性格には合いませんでした。そこで自分なりにいろいろと調べたところ、街コンなら直接会って話せるし、普段会うことのないような人との出会いもあるかもしれないと思ったんです。私が参加した街コンは、個室で1人当たり5分から10分、じっくり話してお互いのことを知り、最後に印象に残った方の番号を書いて、相手とマッチしたら連絡先を交換するという流れでした。10人くらい会った中で、彼が一番自然体で緊張せず話せたんですよね。※地方自治体や商店街、地域の飲食店が主催・協賛して催される大規模な交流イベント

パートナーさんの方も、友達に勧められて同じく街コン初参加だったとか。1回目にしてよき出会いがあったんですね。

彼に言われたのは、いろんな意味で私が「キラキラしていて一番心に残った」と。実はその日、ライブに行く予定があって、金髪にブルーのカラコンをしてたんですよ(笑)。

型にハマらないファッションが印象に残ったんですね。すぐ交際に発展したそうですが、お相手の印象は変わりましたか?

それが、ぜんぜん変わりませんでした。私は割と相手の過去や考え方が気になって、一つひとつ質問したいタイプなんですが、それに対して気を遣った発言をしている感じがまったくなく、思ったことをそのまま言ってくれているのが分かるんです。裏表がないというか。私がゴリゴリの文系で彼ががっつり体育会系なので、趣味がまったく合わないのが逆によかったのかもしれない。彼の話を聞くたびに全部が新鮮で、「何それ知らない、教えて」ってなるんですよね。喧嘩もまだ一度もしたことがないですね。

まさに運命のお相手との出会いですが、結婚を意識されたのはいつですか?

付き合って割とすぐ「一緒に住もうか」という話になり、その段階でお互いの両親に挨拶に行こうと。ただ、その前に私は彼に話しておきたいことがあったんです。実は、私の実家は代々続いている農家でして。家業を継いでほしいとまでは言われないものの、「結婚しても、名字は残してほしい」と中学生の頃から父に言われていたんです。当時は、深く考えることもなく、“女性側の姓を残すという選択肢もあるんだな”と普通に受け入れてきましたね。私自身、姓をもじった愛称で呼ばれることも多く、愛着があったので、結婚したら自分の姓を選択したいなと思っていました。

ご自身のこれまでの歩みや環境から、ごく自然に抱かれていた思いだったのですね。

はい。そこで、具体的に結婚が見えてきたときにふと、“世の中的には、どっちの姓に合わせるカップルが多いのかな?“と思って、インターネットで検索してみたんです。そうしたら、ほとんどのカップルが男性側の姓を選んでいるという調査結果を見つけて、すごく驚きました。“もしかして女性の姓を選ぶのはめちゃくちゃ少数派なの……?”と。そこからは葛藤の連続。“彼にどう言おう、いつ言おう”、“もし嫌だと言われたら、どこに妥協点を探せばいいんだろう……”。そんな不安で頭がいっぱいになりました。やっぱり結婚は、皆に祝福されたいじゃないですか。姓でもめてどっちかが我慢しなくちゃいけないのは、やっぱり悲しいし、しんどい。できるだけ早めに自分の思いを丁寧に伝えなくてはと思いました。“もし彼の同意を得られなかったら、誠意を持って両親を説得しよう。親ならきっと理解してくれるはず……”。そうやって何度もシミュレーションを重ねて、話す覚悟を決めましたね。

「私の姓を選択したい」と伝えたら 
彼から意外な言葉が返ってきた

実際に打ち明けるときは、どんなふうにパートナーさんに伝えたんでしょうか?

深刻な雰囲気で切り出すときっと彼も身構えてしまうと思ったので、まずは軽い相談モードでいこうと。「ちょっと相談なんだけど、結婚する場合は私の姓にしたいんだよね。どうかな?」と話しました。すごく緊張しながら聞いたんですが、彼はあっけなく「あ、そう」という返事で……。

“これは、もしかしてピンときてない?”と、戸惑いながらもよくよく話を聞いてみると、彼の叔父さんやいとこ、数人の友達など、彼の周りでは結婚して女性側の姓になった人が当たり前にいたそうなんです。だから、「自分もそうなるんだなと思っただけで、特に抵抗感はないよ」と話してくれました。それを聞いて半分納得しましたが、あまりにふつうだったので、“本当に自分の姓が変わるということを分かっているのかなあ”と心配は残りましたね(笑)。

いざ、ご両親と対面してみて、どのような流れでお話しして、どのような反応があったのでしょうか?

彼経由で、ご両親も私の姓にすることを了承してくれているとは聞いていたのですが、やっぱり直接伝えるときは、緊張しましたね。できるだけ誠実に、“自分にはこういう背景があって、結婚後は私の名字にできたらと思っている”ということをお伝えしました。そうしたらすんなり、「2人が納得しているならいいじゃない」と。ご両親の基本方針として「本人同士が決めたらいい」と考えてくださっているようでした。心からホッとしましたね。

その後、私の両親にも報告すると、「本当によかったね」という反応でした。自分たちの希望を娘に言ってきたものの、やっぱり心配はしていたと思うので、彼のご家族にすごく感謝をしていましたね。

お話を聞くほどに、周囲の人に理解をちゃんと得て物事を進めたいという真摯な姿勢、生き方を感じます。

私の性格的に、“自分だけがよければよし”みたいにはできないんですよね。周囲の理解を得られることで、より自分の人生も楽しくなっていくと思うから。

私は美大出身なんですが、一度浪人をしているんです。浪人が決まったタイミングで、父から美大進学を反対されて。そのとき、希望する道に進むため、自分がどうしてこの選択をしたいと思っているかを話して父をどうにか説得し、壁を乗り越えたという経験がありました。

今は、なりたかったデザイナーという職についていますが、それはやっぱり周りの協力があったから。身近な人の協力を得るためには理解してもらう必要があるし、長い目で見るとどんなことも周囲の理解がないと続けることは難しいと思うんです。彼とも“どんな小さなこともきちんと話し合いたい”という思いは、その経験が原点かもしれません。

身構えていたのは自分だけ?
「姓」は本人同士で決めていい

結婚をきっかけに改めて“姓”と向き合い、気付いたことはありますか?

彼や、彼のご両親がとってもスムーズに受け入れてくれて、いい意味で拍子抜けしたんです。そのときに、“あれ?もしかして私だけが肩肘張っていたのかな?”と気が付きました。自分の姓を選びたいという思いに真っすぐ過ぎて、1人で緊張してしまっていたのかもしれないな、と。

“否定的な反応があるかも”と身構えてしまっていたのかもしれないですね。

それは本当にあったと思います。想像以上に、みんながフラットな反応でハッとさせられましたから。

改めて、自分自身も客観的に考えると、姓をどちらにするかは本来、結婚する本人同士で決めること。私自身は自分の姓が好きで選びたかったけれど、周囲から先に「絶対にこうしてほしい」と言われてしまうのは、ちょっと息苦しい部分もあったのかもしれません。

そんな気付きもあって、将来的には私たちも子どもを持ちたいと話し合っていますが、子どもにも私の姓を継いでほしいかと言えば、そういう気持ちはまったくありません。彼のご両親のお言葉をお借りすると、「本人に任せること」。子どもに対しては、子どもの人生だから、自由に選んでもらえればと思っています。

結婚後の“姓の選択”で悩んでいる人に伝えたいことはありますか?

周りの雰囲気とか、“一般的”かどうかという理由だけで男性側の姓を選ぶのはちょっともったいないと感じます。姓の選択肢は最初から二つある。まずはその前提に立って、2人でフラットに相談してみてほしいです。

というのも、友人に結婚報告をした際、「名字は何に変わったの?」と聞かれることが多くて。女性が男性側の姓にそろえることを、当たり前のこととして受け入れている人が多いのだと感じました。結果としてどちらの姓にするにせよ、まずはしっかりお互いの気持ちを確かめ、話し合うこと。そのプロセス自体が、自分やパートナーの価値観を深く知る機会にもなるのではないかなと感じます。

お二人も“姓の選択”というテーマを通じて、改めてお互いの考えに触れたのですね。そんな対話を積み重ねてきた今、改めてお相手のどんなところが好きですか?

彼は、私のことを「なんでもはっきり言ってくれるところが格好よくて頼もしい」と。自分ではよく分からないですけど(笑)。私は、やっぱり彼の裏表がないところが好きです。姓のことも含めて、隠し事なく向き合ってくれる安心感があります。この先もどんな小さなことでもこまめに話し合えるような、仲のいい家庭を築いていきたいです。

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