コミュニティ恋愛の実態と分析
この記事は大学生を中心とした若い世代とこども家庭庁によって組織されたプロジェクト「ライフデザインYouth Lab.」が作成したものです。若い世代が主体的に、自らのライフデザインについて考える機会の創出を目指しています。
※「ライフデザインYouth Lab.」について詳しく知りたい方は文末をご覧ください。
Index
同じコミュニティに恋人がいるって実際どうなんだろう?
大学生活には、思っている以上に多くの「コミュニティ」がある。学科、サークル、ゼミ、アルバイト、学生団体、オンラインコミュニティ。気づけば毎週顔を合わせ、同じ課題に追われ、同じ達成感を味わう人たちだ。学科の仲良しグループでテスト勉強会をしたり、同じサークルで趣味に打ち込んだり、ゼミで夜遅くまで議論したり……。そんな距離の近い場所で、恋愛が生まれるのは不思議なことではないと感じられる場面もある。むしろ、「よくある話」として語られることもあるのかもしれない。
筆者の周囲で話を聞いた範囲では、コミュニティに属する大学生40名にアンケートを取ると、約6割がコミュニティ内恋愛の経験あり。さらに、経験の有無に関わらず、過半数が肯定的という結果だった。
「同じコミュニティで恋愛ってどうなの?」
この問いに対して、少なくとも今回話を聞いた人たちの間ではフラットな受け止め方が多かった。ポジティブな意見として多かったのは、以下の通り。
・相手の仕事ぶりや周囲への接し方を含めて、人となりをよく知ったうえで好きになれる
・共通の話題が多く、悩みや達成感を共有しやすい
・活動そのものが「会う理由」「頑張る理由」になる
一方で、ネガティブな声も一定数聞かれた。
・別れたあとに気まずくなる
・周囲が気を遣う
・コミュニティ全体の雰囲気に影響が出る
面白いのは、否定的な意見の多くが「恋愛そのもの」ではなく、その後や周囲への影響に向いている点だ。つまり、「好きになること」自体が問題なのではなく、「居場所をどう守るか」に不安を感じる人がいる、という整理が共有された。
なぜ、コミュニティでは恋が生まれやすいのか
そもそも、一部の大学生にとってコミュニティは少し特殊だ。ただの友達関係とも、ただの組織とも違う。社会学者フェルディナント・テンニースは、人の集まりを感情や信頼で結ばれた「共同体」と、目的や合理性で結ばれた「利益社会」に分けて説明した。大学のサークルやゼミ、活動団体は、この二つの性質が重なっていると捉えられることがある。目的があるから集まり、一緒に動くから感情が生まれる。こうした構造の中で尊敬が好意に変わりやすいと感じた人もいる。
信頼が恋愛に発展しやすいと捉えられることもある。同時に、関係が壊れたときの影響も大きくなる。恋愛が終わる=活動の場が揺らぐ、と感じられる場面がある。コミュニティ内恋愛が「難しそう」に感じられるのは、恋愛の問題というより、居場所と感情が重なっていることへの意識が背景にあるのかもしれない。
実は、コミュニティ内恋愛は「頑張る人同士」で起きている?
アンケート結果で、特に興味深かった点がある。コミュニティ内恋愛の経験者の約3分の2が、「自分は能力が高い側だと思う」「周囲からも評価されている」と答えていた。それはコミュニティ内恋愛をしたことが無い人に比べ割合が高かった。また、「コミュニティに積極的に関わっている人は、全体的にデキる人が多い」と感じているという声も一定数見られた。これは何を意味しているのだろうか。
今回のアンケートや話し合いの中では、 コミュニティ内恋愛が誰にでもランダムに起きているわけではないと感じる人もいた。よく来て、よく考えて、よく動いている人同士の間で生まれやすい可能性がある、という見方も共有された。
活動に本気な人は、目立つ。責任を引き受ける姿勢や、周囲への気配りが見える。そうした姿が、自然と人を惹きつけると感じられる場面もある。そして、恋愛が始まると、それがさらに頑張る理由になることもある。
「応援してくれる人がいる」
「隣で同じ目標を追っている人がいる」
恋愛は、コミュニティへのコミットを弱めるどころか、エネルギーを高める要素として働く場合もある、という意見が出ていた。
それでも、慎重になる理由がある。もちろん、いい話ばかりではない。コミュニティ内恋愛が難しいと言われる理由は、話し合いの中でも複数挙げられた。別れたあと、同じ場に居続けるのは簡単ではないと感じる人もいる。
周囲が気を遣う。 空気が変わる。 噂が広がる。
アンケートで出てきたネガティブな声は、ほぼすべてが「別れたあと」、「周囲への影響」、「公私混同」に集中していた。
ここから見えてくるのは、恋愛をしたくないわけではない、という声が多かったことだ。 多くの人は、コミュニティを大切にしているからこそ、慎重なのだと捉えられる。 だから必要なのは、一律のルールではなく、向き合い方を考える視点なのかもしれない。
公と私をどう分けるか。 周囲にどう配慮するか。 もし関係が変わったとき、どう振る舞うか。
恋愛そのものより、その後の態度や関係性の保ち方が意識されている。
コミュニティ内恋愛をどう捉えるか?
コミュニティ内恋愛を、どう捉えるか。コミュニティ内恋愛はトラブルの種として語られがちだ。でも、アンケート結果を通して見えてきたのは、それだけではない姿だった。本気で関わっている人ほど、恋をしやすい。そして、恋をすることで、さらに本気になる人もいる。こうした声が一部で共有された。 恋愛は、集中力を奪うものでも、足を引っ張るものでもないと感じる人もいる。 人が何かに真剣に向き合っているとき、自然に生まれる関係性。それをコミュニティ内恋愛と呼ぶ人もいるのかもしれない。
大切なのは、「アリかナシか」を決めることではない。
どう向き合うか。 どう振る舞うか。 そして、その場をどう大切にするか。
コミュニティ内恋愛は、リスクである前に、誰かがそのコミュニティに真剣に関わっていることの一つの証なのだから。
「ライフデザインYouth Lab.」とは?
「ライフデザインYouth Lab.」とは、若い世代自らライフデザインに触れ、様々な情報や事例を知ることで得た気づきを共有・発信するための若い世代によるプロジェクトチームです。この記事を読んで「私にとってのライフデザインって?」と感じたなら、彼らの活動についてもう少しだけ触れてみてください。自分らしい未来を描くきっかけに出会えるかもしれません。
【本記事に関するご注意】
本記事は、大学生が恋愛や結婚など「ライフデザイン」について率直に話し合い、その中で出てきた意見や感情をもとに構成を考え、大学生自身によって執筆されています。そのため、内容には強い言葉や極端に感じられる表現、読み手によっては違和感や不快感を覚える可能性のある記述も含まれています。しかし、それらを過度に編集・修正することはあえて行っていません。話し合いを通して生まれた大学生自身のリアルな言葉を共有することに、この取り組みの意義があると考えています。学生の生の声をできるだけそのまま届けることで、読者の皆さんが自分自身の考えと向き合うきっかけになれば幸いです。
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